日曜日, 8月 03, 2008

釣りを科学する

2,3日前に、釣り好きの友人と、ビールを飲みながら、月と潮がどう釣果に関係しているのか議論したのです。釣りの常識、conventional wisdom, では、新月と満月時の満潮が良く釣れるなどいろいろ説があります。

もちろん、釣る魚、仕掛け、餌の種類など、回帰変数がいろいろあるので、それが全てではないのですが、釣れる確立が高くなれば、その時にあわせて釣ったほうが良いに決まっています。

ま、そんな事を話ていたので、ちょっとその関係をリサーチしている人はいないか調べてみました。釣り船のおっさんの意見や経験から、「理屈なんかいらねえ、満潮に決まってるべ!」とかの「週間釣りニュース」的な関連記事はあるのですが、いまいち科学的ではないのです。

そこで、漁業リサーチ関係の地味なジャーナルを調べてみたら、結構、そんなことを、世の中には真剣に調べている人がいるものです。

その中の1つに、オーストラリアでのトローリング大会の釣果と、月の周期の関係を9年間のデータを元に調べた人がいるのです。(Lowry, Williams, & Metti, 2007)

そのリサーチによると、月の周期によって釣果が変わっているのが、ブラックマーリン、ブルーシャーク、マヒマヒ、イエローフィンツナ。

特に月の周期に左右されないのが、ブルーマーリン、ストライプマーリン、タイガーシャーク。

どうやら、その関係はその魚たちの餌とりの習慣に関係しているらしいのです。
魚の餌になるイカやその他の小魚は満月の明るい時は、暗い水中に隠れてしまうのです。

マグロなど水温の変化に対応できる魚は、その餌を追って、海を垂直に移動できます。その結果、ツナなどの魚は、新月などの時水面近くに来て捕食するので、トローリングで釣れる確立があがります。

マーリン系の魚は、水温の変化に耐えられなく、いつも水面近くにいなくてはならず、餌があれば食いつくので、釣果と月の関係は薄いみたいです。

唯一、ブラックマーリンは月と関係があるように見えますが、釣ったブラックマーリンの大半は、子供のマーリンらしく、子供の時は、餌を追って深く潜れるらしいのです、なので、今回のリサーチでは、月と関係があったみたいです。

このリサーチは得に、潮の動きには触れていませんが、月と潮は関係があるので、潮も釣果と関係があるのでしょう。

仮説ですが、満潮の時は、水が増えるため魚の行動範囲が増えます、餌になる生物も水の中に浸かる事になるので、満潮が餌をとるのに好都合です。

その上、新月で、水中の餌が水面近くにくれば、水面付近での魚の餌とりが活発になります。同時に、基本的に人間が釣りをするのは、水面近くです。

それを考えれば、新月の満潮の時に釣果が期待できるはずです。

次回のリサーチクエスションは、マンタと満月の関係です。よく言う、満月の時はマンタがでないといいますが、根拠はあるのでしょうか?

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references
Lowry, M., Williams, D., & Metti, Y. (2007). Lunar landings—Relationship between lunar phase and catch rates for an Australian gamefish-tournament fishery. Fisheries Research 88, 15–23.